東電会議録映像 - 1 1 号機の原子炉建屋爆発 http://ht.ly/cMKNM
東電会議録映像 - 2 1 号機の海水注入の経緯 http://bit.ly/MZEcBi
東電会議録映像 - 3 3号機の原子炉建屋爆発 http://bit.ly/NYYOJM
東電会議録映像 - 4 2号機の逃し安全弁操作の経緯 http://bit.ly/MZEtnH
東電会議録映像 - 5 (1) 退避にかかわる発言 http://t.co/eooQ6JRv
東電会議録映像 - 5 (2) 退避にかかわる発言 http://bit.ly/MgxTIh
東電会議録映像 - 5 (3) 退避にかかわる発言 http://bit.ly/O2811c
東電会議録映像 - 6 菅総理の来訪 http://bit.ly/QGiFyZ
東電会議録映像 - 7 4号機と考えられる衝撃音の発生 http://bit.ly/TbVJFt
平成23年東北地方太平洋沖地震について 3月11日22:35現在 政府緊急災害対策本部 ~ 炉心損傷22:20ころ、原子炉破損23:50頃、との記載。全14ページ中3ページ目。 文書URL bit.ly/pOTn16
政府の昨年夏試算「6%余裕」伏せる 再生エネ除外、「不足」のみ公表 bit.ly/AEjAwj 「全国で約1割の不足に陥る」と公表した昨夏の政府試算について「供給不足にはならない」という別の未公表のシナリオが政府内に存在
◆マスコミに載らない海外記事
福島メルトダウンの背後にある衝撃的事実
日本は、原発災害は、想定外の津波と地震の組み合わせで、ひき起こされたと主張している。だが新たな証拠は、日本の原子炉は事故を起こす運命にあったことを示唆している
The Independent
David McNeill in Tokyo and Jake Adelstein
水曜日、2011年8月17日
それは日本で進行中の原発事故ミステリーの一つだ。津波が襲う前に、3月11日の地震は、福島第一原子力発電所に対して、一体どれだけの損傷を与えたのだろう?
リスクは高い。もし、地震が、原発と、核燃料の安全性を、構造的に損ねたのであれば、日本中のすべての同様な原子炉を停止する必要があり得るのだ。54基のほぼ全ての原子炉は、休止中(35基)か、あるいは、来年4月までに停止予定であり、原発再稼働に関するあらゆる論議に、構造的な安全性の問題がのしかかっている。
この議論において、原発の運営者である東京電力と、日本政府は、とうてい信頼に足る裁定者とは言えない。3月11日後の数日間、"メルトダウンはしていない"と、政府のスポークスマン、枝野官房長官は繰り返した。東京電力の当時の清水正孝社長は、周知の通り、容易には信じられない発言として、後刻、"想定外の事故だった" と語った。事故から五ヶ月たって、枝野官房長官が話していた時点に、メルトダウンが既に起きていたことを我々は知っている。想定外どころか、事故は業界の評論家達によって、繰り返し警告されていたのだ。
何ヶ月もの嘘と虚報の中、定着している話が一つある。地震こそが原発用の電力を損壊し、原子炉6基の冷却を止めた、というものだ。津波が、そこで40分後に、原発の予備発電機を押し流し、あらゆる冷却を停止させ、世界で初めての三重メルトダウンを生じさせた、一連の出来事を引き起こしたのだ。
津波が施設に到達する前に、もしも再循環水配管と冷却水配管が地震の後で破裂していたらどうだろう?電力が停止する前に?建設後40年の老朽第一号炉、日本で依然稼働しているお祖父さんの古炉形に詳しい人々で、これに驚く人はまれだ。
破損して、劣化しつつある、きちんと修理されていない配管と冷却装置の問題は、長年指摘されていた。2002年9月、東京電力は、極めて重要な循環水配管の亀裂に関するデータの隠蔽を認めた。この隠蔽を分析した、原子力資料情報室は、こう書いている。"隠蔽された記録は、再循環配管として知られている原子炉の部品の亀裂に関係している。これらの配管は、原子炉から熱を取り出すために取り付けられているものだ。もしこれらの配管が破裂すれば、冷却液が漏出する深刻な事故となる。"
3月2日、メルトダウンの9日前に、政府の監督機関、原子力安全・保安院は、再循環ポンプを含め、原発機器の極めて重要な部分の検査をしそこねていることに対し、東京電力に警告した。東京電力は、検査し、必要があれば修理をし、原子力安全・保安院に、6月2日に報告するよう命じられていた。現時点では、その報告書は提出されていないようだ。
インデペンデント紙は、原発で何人かの作業員と話したが、皆、同じような話をくり返した。津波が襲う前に、配管と、少なくとも原子炉の一基に、深刻な損傷が起きていた。今でも事故が起きた原発で働いていたり、関係したりしているため、全員が匿名にしてほしいと希望した。事故が起きた日に、福島原発にいた保守技術者の作業員Aは、シューと音をたてて、洩れる配管を思い出している。
"ばらばらになる配管をこの目で見ましたし、原発中では、もっと色々壊れているだろうと思います。地震が原発内部もかなり損傷させたことに疑問の余地はありません... 一号炉タービン建屋の壁の一部がはがれ落ちるのも見ました。あの亀裂は、原子炉に影響したかも知れません。"
原子炉壁は極めて脆弱だと、彼は言う。"炉壁が余りに堅牢だと、内部からのわずかな圧力で、ひびが入る可能性があるので、壊れやすく作られている必要があるのです。もし内部で圧力が維持されれば...内部の機器を損傷する可能性があるので、圧力が逃げられるようになっている必要があるのです。危険な時には、たわむように設計されているのです。そうでないと、もっとひどいことになり得ます。他の人々にとっては衝撃的かも知れませんが、我々にとっては常識です。" 30代後半の技術者で、やはり地震の際に現場にいた作業員Bはこう回想する。"地震は二度襲ったように感じられ、最初の衝撃は余りに強く、建屋が揺れ、配管が曲がるのが見えました。数分間のうちに、配管が破裂するのを見ました。壁からはがれ落ちるものもありました...
"誰かが、皆避難しなければだめだと叫びました。けれども、冷却水給水用配管だと思われるものを含め、何本かの配管がひび割れしているぞと言われ、私にも見えたので、私は避難しながら、大変に心配でした。それは、冷却液が原子炉炉心に到達できないことを意味しています。もし十分な冷却液を炉心に送り込めなければ、炉心はメルトダウンします。原子力学者でなくても、そんなことはわかります。" 車に向かって進む際に、第一原子炉の建屋の壁が崩壊し始めるのが見えた。"穴があいていました。最初の数分間、誰も津波のことは考えていませんでした。私たちは生き残ることを考えていました。"
地震が原子炉に大きな損傷を引き起こしたという疑念は、数分後に、原発から漏れた放射能についての報告によって強化される。ブルームバーグ通信社は、午後3.29、津波が襲う前、原発からおよそ1.6キロの所で、放射能警報が鳴ったと報道している。
地震が、原子炉に対して、直接的な構造上の損傷を引き起こしたことを、当局が認めたがらない理由は明白だ。「東京電力: 帝国の暗黒」の著者、恩田勝亘氏は、こう説明している。政府や業界がそれを認めれば、"彼らが運用しているすべての原子炉の安全性にまつわる疑念が生じます。彼等は、同じシステム上の問題、同じ配管損傷を抱えた、多数の古めかしい原子炉を運用しているのです" 地震は、もちろん日本では日常茶飯事だ。
元原発設計者の田中三彦氏は、3月11日に起きたのは、冷却液損失事故だと説明している。"東京電力が公開したデータは、地震から数時間後の、冷却液の膨大な喪失を示しています。これは電力喪失のせいにはできません。既に、冷却装置には大変な損傷があったので、津波が到来するずっと前から、メルトダウンは不可避だったのです。"
公開されたデータは、地震直後機、午後2.52に、AとB系統両方の緊急循環冷却装置が自動的に起動したことを示していると彼は言う。"これは、冷却液の喪失が起きた場合にのみ、起こります。" 午後3.04から3.11の間に、格納容器内部の水噴霧装置が起動した。田中氏は、これは他の冷却装置が駄目な場合にのみ、使われる緊急対策だと言う。午後3.37頃に、津波が到来し、すべての電気系統を破壊する頃には、原発は、既にメルトダウンに向かって進んでいたのだ。
原発の現場検査を行い、東京電力のデータ改竄について、最初に内部告発をしたケイ菅岡氏は、事故が起きたことに驚いていないと語っている。日本政府宛の、2000年6月28日付け書面で、東京電力は、原発において、ひどく損傷した蒸気乾燥機を、彼が問題を指摘してから10年間稼働し続けていると警告した。政府は警告を二年間、放置していた。
"私はいつも単に時間の問題だと思っていました。" 事故について彼はそう語っている。"今は、自分が正しかったことが幸福と思えない、人生の一時期です。"
調査期間中、恩田氏は東京電力の原発で働いた何人かの技術者と話をした。一人は、配管が図面と合わないことがよくあったと語っていた。その場合、唯一の解決策は、重機を使い、配管を十分近くに引き寄せ、溶接して、閉じることだ。配管の検査は、ぞんざいなことが多く、近寄りがたい配管の裏側は無視されることが多かった。修理作業は大急ぎで行われる。必要以上に長く、放射能に曝されたい人などいないのだ。
恩田氏はこう補足した。"福島原子力発電所を初めて訪問した際、配管の蜘蛛の巣でした。壁や天井の、地上の配管。配管を跨ぎ、配管の下をくぐって歩かなければなりませでした。時には、頭を、配管にぶつけました。原子炉の熱を制御し、冷却液を運ぶ配管は、原子力発電所の静脈と動脈です。炉心は心臓部です。もし配管が破断すれば、不可欠な冷却水が炉心にまわらなくなり、心臓マヒになります。原子力の用語で、メルトダウンです。簡単に言えば、冷却液を運び、熱を制御している配管が破裂すれば、原子炉炉心は冷却できません。冷却液が炉心に届かないのですから。"
1977年から、2009年まで東京電力に勤務し、元福島原発の安全担当者だった蓮池透氏は、"福島原発の原発事故の緊急対策には、炉心冷却のために海水を使うという記述はありません。海水を炉心に注入は、原子炉を破壊することです。それをする唯一の理由は、他の水や冷却液が使えない場合です。"と語っている。
3月12日の夜明け前、原子炉の水位は急落し始め、放射能は上昇し始めた。当日午前4時過ぎに発表した東京電力の報道発表にはこうある。"格納容器内の圧力は高いが安定している。" 発表の中には、多くの人々が見落としている一つの記述が埋もれていた。"緊急冷却水循環システムが炉心内の蒸気を冷却していた。それが機能を停止した。"
午後9.51、社長命令で、原子炉建屋内は立ち入り禁止区域となった。午後11時頃、原子炉の隣にあるタービン建屋内の放射能レベルは、一時間0.5から1.2 mSvのレベルに達した。言い換えれば、メルトダウンは既に進行中だったのだ。このレベルだと、20分間、このレベルの放射能に曝されれば、日本の原子炉作業員の許容量5年分を超えてしまう。
3月12日の午前4時から6時のある時点で、吉田昌郎所長は、海水を原子炉炉心に注水するべき時期だと判断し、東京電力に通知した。海水は、水素爆発が起きてから数時間後、午後8時頃まで、注水されなかった。その頃では、おそらく既に遅すぎた。
3月末、東京電力は、"福島第一原子力発電所一号機の原子炉炉心状態"という題名の報告書中で、少なくとも、こうした主張のいくつかを 多少は認める方向に進んだ。報告書には、配管を含め、重要な設備に、津波前に損傷があったとある。
"これはつまり、日本と海外の業界による、原子炉は堅牢だという保障は、吹き飛んだということです" と、独立した放射性廃棄物コンサルタントで、グリーンピースと協力しているショーン・バーニーは語っている。"地震危険度の高い地域にあるすべての原子炉に対し、基本的な疑問が生じます"
バーニー氏が指摘している通り、東京電力も、冷却液喪失の16時間後、第一号炉爆発の、7ないし8時間前の、大量の燃料溶融を認めている。"こうしたこと全てを彼らは知っていたに違いありませんから、膨大な量の水で水浸しにするという彼等の決断は、太平洋への漏洩を含めて、更なる膨大な汚染を、必ずひき起こすものでした。"
地震によって、原発がどれほど損傷したのか、あるいは、この損傷だけが、メルトダウンの原因なのかは誰にもわからない。ただし、東京電力のデータと、目撃者の証言は、損傷がかなりのものであったことを明らかに示している。
蓮池氏はこう語っている。"東京電力と日本政府は色々説明していますが、辻褄があいません。彼等がまだ提供していない一つのことは、真実です。そうすべき頃合いです。"
記事原文のurl:www.independent.co.uk/news/world/asia/the-explosive-truth-behind-fukushimas-meltdown-2338819.html
★12/26 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会中間報告概要 http://ht.ly/8dHlM
1 はじめに 1
2 事故の概要 1
3 事故発生後の政府諸機関の対応の問題点 2
(1)原子力災害現地対策本部の問題点 2
(2)原子力災害対策本部の問題点 3
(3)残された課題 4
4 福島第一原発における事故後の対応に関する問題点 4
(1)1 号機のIC の作動状態の誤認 4
(2)3 号機代替注水に関する不手際 5
(3)1 号機及び3 号機の原子炉建屋における爆発との関係 6
5 被害の拡大を防止する対策の問題点 6
(1)初期モニタリングに関わる問題 6
(2)SPEEDI 活用上の問題点 7
(3)住民避難の意思決定と現場の混乱をめぐる問題 8
(4)国民・国際社会への情報提供に関わる問題 9
(5)その他の被害の拡大を防止する対策についての考察 9
6 不適切であった事前の津波・シビアアクシデント対策 10
(1)不適切であった津波・シビアアクシデント対策 10
(2)東京電力の自然災害対策の問題点 12
7 なぜ津波・シビアアクシデント対策は十分なものではなかったのか 13
8 原子力安全規制機関の在り方 14
9 小括 15
10 おわりに
放射性物質を大気中ばら撒く - 放射能汚染廃棄物の焼却処理
2011年10月3日 環境ジャーナリスト 青木泰
1) 環境省、放射能汚染がれきは燃やしてよいと発表
東北大震災と津波は、19,868名の死者と行方不明者を出し、東北3県(岩手、宮城、福島)の海岸沿いの建造物をなぎ倒した。その結果産み出された災害廃棄物(以下がれき)は、2400万トンにのぼり、これは日本全国で1年間に排出される廃棄物の約半分という膨大な量に上った。
それに加え、今回の災害は、大地震と津波によって、福島原子力発電所の安定稼働に必要な冷却水の供給が途絶え、より深刻になった。炉心がメルトダウンし、1号機から3号機で次々と爆発を起こし、4号機では、使用済み燃料プールも爆発した。その結果100京ベクレルという天文学的な放射性物質が、環境中に放出された。放射性のセシウム量としては、広島・長崎の時の168倍もが、放出されていると国会で報告された。
放射性物質は、露天に放置されていたがれきを汚染し、がれきの処理は、より困難になった。
そうした6月23日、環境省は、放射能汚染されたがれきの処理方法として、可燃ごみは市町村の清掃工場の焼却炉で焼却し、不燃ごみは除洗せず、埋立て処分する方針を発表した。焼却炉は、バグフィルターが付設されていれば良いとした。環境省の肝いりで作られた「災害廃棄物安全評価検討委員会」(=有識者検討会)でも了解されたとマスメディアに流された。<ここでは焼却問題について検証する。>
2) 放射性物質は、燃やすことで無くなるわけではない。
清掃工場の焼却炉では、通常木や紙、生ごみなどの有機物が焼却される。有機物は、焼却によって、炭酸ガスや水蒸気などのガスと微細な粒子,煤塵となって煙突から排出される。有機物は、1割ぐらいの燃え殻,灰を残して、分解して無くなってしまう。燃焼状態によって、煤塵が増えれば、煙突から黒々とした煙が出、ダイオキシン等の有害物も排出されることになる。
バグフィルターなどの集塵装置は、この煤塵や有害物の除去装置としてつけられたものである。しかし無機物である放射性物質は、焼却したからといって無くなる訳ではない。焼却すれば、ガスや微細な粒子に形を変えて、清掃工場の煙突から放出される。微細な粒子も総て取りきれるわけではなく、気化したガスはバグフィルターで除去できない。ガスや微粒子になった放射性物質は、毒性がなくなるわけではなく、拡散放出される。放射性物質の排出源が、福島第1原発に加え、多発化されることになる。(その上焼却灰に濃縮された形で残し、保管一つを取っても後処理を困難にする。)
3) 放射性物質は、バグフィルターで除去できると裏付けなしに語る。
有識者検討会の委員で環境省の方針を積極的に後押ししたのは、国立環境研究所の大迫政浩資源循環・廃棄物研究センター長である。大迫氏は、バグフィルターが付加されていれば、放射性物質を除去できるため、煙突から煙となって拡散されることはないと朝日新聞の週刊誌「アエラ」で語っている。
しかし大迫氏らの発言は、実証的な実験の裏付けがあって語っているわけでない。
有識者会議に大迫氏が資料として提出した論文は、放射性物質がバグフィルターで除去できるというものでなかった。
その論文は、論題は、「都市ごみ焼却施設から排出されるPM2.5等微小粒子の挙動」であった。微小粒子が喘息等に影響を与えると言う米国や環境省の報告を受けて、既存の焼却炉で除去できているかの実験をしたものである。微小粒子が、バグフィルターで99.9%除去できたとする実験結果でしかなかった。
実際廃棄物関係の専門誌である「月刊廃棄物」では、大迫氏は、「元来放射性物質は廃棄物処理法に含まれていなかったので、われわれ国立環境研究所は、知見もノウハウもほとんどありませんでした。」「自治体からの要請に基づいて、排ガス中の挙動や放射能レベルが高くなる原因究明などについての調査なども行ってゆきます。」
と語っている。アエラで語った「放射性物質は除去できる」というのは裏付けなく話していたにすぎない。
4) 放射能汚染物焼却の背景
市町村の焼却炉は、有害物の除去装置として造られたものでない。市町村の街中から排出される生活ごみの量を減らす減容化のための手段に過ぎない。バグフィルターなどの除去装置は、焼却の過程で産み出される有害物や吐き出される有害物を除去するための装置に過ぎず、放射性物質に限らず、有害物を除去分解するための装置ではない。
今回の環境省の方針や大迫氏などの判断には、放射性廃棄物を市町村の焼却炉で燃やした時の周辺への影響を真剣に検討した後は見られない。
東北大震災で発生した大量のがれきを町中からなくしたいということがあり、従来の災害廃棄物と同様に市町村の焼却炉で燃やすということになったと考えられる。当初は、放射能の影響を考えていたが、放射能汚染されたがれきを燃やさなくとも、すでに市町村の焼却炉から排出される焼却灰は、放射能汚染度が高く、がれきを投入しても影響はないと今回の措置に踏み込んだものと考えられる。
しかし災害地だけでなく、東日本各地の市町村の焼却炉で放射能汚染されたごみが燃やされている。焼却灰が高濃度汚染されているのは、街路樹や公園、庭木などの樹木が放射能汚染され、それらの剪定ごみを燃やしている自治体が多く、その影響と考えられる。
バグフィルターで捕捉された煤塵(飛灰ともいう)や燃え殻等を焼却灰というが、焼却灰が高濃度汚染されているというのは、相応の放射性物質が煙突から環境中に排出されているということである。
この事実を前にして、国民のために環境を守り、科学的な対処を考える環境省や専門家ならば、今すぐ市町村での剪定ごみの焼却をやめさせなければならない。
ところが、どうせ現状の市町村の焼却炉でも放射能汚染物を燃やしているのだからそこに放射能汚染がれきが追加されても、大したことはないだろうというのが、環境省が取った、放射能汚染がれきの焼却方針化といえる。
5) バグフィルターを付設した焼却炉の影響
バグフィルターは、布や不織布で作られた袋状のフィルターで、掃除機のフィルターと基本的には同じである。ごみ焼却炉で燃やされ大量に排出される排ガス中には、微細な粒子状の煤塵が含まれているため、これをバグフィルターを通して除去することが目的である。その際ダイオキシンなどの有害化学物質も除去される。布で作ったフィルターで、微細な粒子が取れるのは、布の表面に微細な塵が蓄積し、層をなしそこを通るより微細な粒子も取ることができるようにしているからである。
これは掃除機のフィルターにごみがたまると急に吸い込みが悪くなるが、その分より細かなチリも取ることができるのに似ている。
層を成し厚みを増すと、排ガスも流れなくなるため、焼却炉のバグフィルターには、振動させて、たまったチリを落としたり、逆からガスを流し布にたまったチリを落とすように工夫している。
チリの層がふるい落とされた時には、排ガスの流れがよくなるために、その分微細なチリは除去できなくなる。
またふるい落としのタイミングが悪い時には、焼却炉から排出される秒速数メータの排ガスの圧力で、バグフィルターが破れ破損することがある。
また焼却炉から排出される排ガスの温度は850℃前後であるが、バグフィルターの前で、200℃前後に冷却するようにしている。しかし温度が下がりきらないことがあり、その時熱風がバグフィルターを破損するため、排ガスの流れを切り替えて、直接煙突に排ガスを流すバイパスを設けている焼却炉もある。(「プラスチックごみは燃やしてよいのか」青木泰著、リサイクル文化社P170~)
このときにはもちろん放射性物質を始め有害物質は煙突からそのまま大気中に放出される。
いずれにせよ、このようなバグフィルターの技術の状況で、バグフィルターで放射性物質は除去できるというのは、ざるで水をすくうことが出来るというに等しい暴論である。
6) 大学の論文の結論を覆す実証例。
バグフィルターについて少し付け加えておくと、大学の研究発表で発表された事例と実際には大きく違うことがいくつかある。
今回の有識者検討会で出された微小粒子除去の実験報告の京都大学の高岡准教授の論文では、99.9%除去できるとなっていた。
この論文の結論から言うと焼却炉でごみを燃やしたときに発生するSPMやPM2.(*SPMは、10ミクロン前後、PM2.5は、2.5ミクロン以下の微粒子。)の微粒子はほぼ除去できる。そのためバグフィルターを付設した焼却炉の周辺では喘息は起こらないとなる。
しかし神奈川県横浜市の栄区のごみの焼却炉が、稼働を停止したところ周辺の小学校の喘息の被患率が、桂台小学校では、19.7%から9.4%に半減し、本郷小学校では15.6%から5%に3分の1になった。(「プラスチックごみは燃やしてよいのか」青木泰著、リサイクル文化社P184~)
また日の出の最終処分場内に作られたエコセメント工場の近くにある青梅市の第2小学校では喘息の被患率が、エコセメント工場が稼働した2006年の翌年の2007年から大きく変化した。それまで0%~0.8%の間で推移してきた被患率が、2007年度に一気に14%に増加し、2010年まで13~14%の間となっている。
また同じ高岡氏は、東京23区清掃一部事務組合の焼却炉で水銀が自主規制値を超えて排出され、清掃工場が止まった後の講演会で、焼却炉で排出される水銀は97.5%除去できると話していたが、その後の調査の中で、金属水銀は原理的にも除去できないこと。焼却炉メーカ自身が除去できないと発表していたことが分かった。
このように学者の研究論文で発表した少数の事例を基に、行政官庁は、バグフィルターで何もかも除去できるとしがちだが、それをそのまま前提にすることはできない。
★WHO | FAQs: Japan nuclear concerns (英文) のシェアに記された松田東北文教大短期大学部教授のメッセージ
皆さん面倒がらずに、この資料を注意深く読んで自分はどうすればよいか各自で考えていただきたいと思います。セシウム137の規制上限値が1,000Bq/Kgでも500Bq/Kgでも汚染物質は一様分布ではなくPoisson分布に従うと考えた方が妥当なので、閾値を引き下げたところで流通する食品の汚染濃度は殆ど変わらないと思うのです。もし上限を1,000Bq/Kgを500Bq/Kgに引き下げて流通する食品の汚染濃度が半減するようなら、全ての食品が高濃度で汚染されていることを意味するので、それこそ大変な事態です。
政府は、セシウム137の汚染上限が500Bq/Kgに設定せざるを得ない状況なら、規制値の意味と、それによってもたらされると仮定した状況をを国民に偽らないで知らせるべきだと思うのです。国民から行動判断の選択肢を奪うようなことだけは無いようにお願いしたいと思います。
食品の検査は標本検査になり全数検査にはなり得ません。その場合には、1)サンプリングの方法、2)検査方法、3)使用機器、4)検査データの処理方法、5)結果の評価基準も公表しなければ信頼性は低くなります。本気で国民の不安を煽りたくないのなら、これらについてきちんと再検証可能な状況を担保して保証し、国民に冷静な対応を呼びかけるべきだと思います。
◆柄谷行人氏スピーチ全文 於 9月11日 新宿原発やめろデモ
◆放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律
(平成十九年五月十一日法律第三十八号)
第三条 放射性物質をみだりに取り扱うこと若しくは原子核分裂等装置をみだりに操作することにより、又はその他不当な方法で、核燃料物質の原子核分裂の連鎖反応を引き起こし、又は放射線を発散させて、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、無期又は二年以上の懲役に処する。
全文
◆東京新聞インタビューより 9月10日
首都圏壊滅の危機感 菅前首相に聞く
2011年9月6日
福島第一原発事故当初を振り返る菅直人前首相
2日に退任した菅直人前首相が5日、本紙の単独インタビューに応じ、東京電力福島第一原発の事故発生当初に原子炉の状態が把握できず、水素爆発が相次ぐ中で「東京に人っ子一人いなくなるような事故に拡大するかもしれない」と、首都圏壊滅の危機感を持ったことを明らかにした。事故の体験から「日本の技術なら大丈夫」との考えが変わり、7月の「脱原発依存」宣言につながった。
菅前首相は、事故四日後の三月十五日に東電本店に乗り込んだ理由を「午前三時ごろ、海江田万里経済産業相(当時)から『東電が第一原発から撤退の意向を示している』と言われた」ためと明言。「(第一と第二で)十基の原発と十一個の核燃料プールを放置したら、何時間か何十時間の間に原子炉とプールの水は空になり、どんどんメルトダウン(炉心溶融)する」との危機感から、本店に政府と東電の対策統合本部を設けたと述べた。
その上で「撤退したら今ごろ、東京に人っ子一人いなくなっていたかもしれない。まさに日本が国家として成り立つかどうかの瀬戸際だった。(旧ソ連)チェルノブイリ事故の何倍、何十倍の放射性物質が出ていたかもしれない」と説明。こうした体験から「日本の技術なら大丈夫」との考えを改め、原発に依存しない社会を目指そうと思ったという。
五月六日に中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止を要請した理由は「東海地震が発生する確率が非常に高いとの研究結果があり、事故が起きたら完全に東京と大阪の間が遮断されて、日本の経済、社会に極めて大きな影響を及ぼすから」と話した。
九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の再稼働目前に新たな安全検査の導入を決めた理由は「(経産省原子力安全・)保安院は、私の知らないところで、保安院だけで再稼働を判断する従来のやり方を取ろうとした。それでは国民の理解を得られないと言った」と述べ、経産省の対応を批判した。太陽光などの再生可能エネルギーについては「産業的にも可能性があるが、電力業界と経産省が三十年前から抑え込んできた。それをどう突破するか。私も頑張ってやろうと思う」と述べた。
高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の運転再開や核燃料サイクルは「技術的に極めて難しい。根本的に再検討する時期にある」との見方を示した。
(東京新聞)
◆松本直治著 『 火の墓標』 と井伏鱒二手記 6月18日
★松本直治著 『 火の墓標 一人息子を奪われた父親の手記』 『原発死 一人息子を奪われた父親の手記』 (ページ下から) http://ow.ly/5kLvR 1999 3/14 日曜日
関連Blog 記事 - 吹きすさぶ無常の風の下に 1999 3/14 日曜日 http://ow.ly/5kMfo
北日本新聞社の取締役を歴任した著者松本直治氏の息子さんは、北陸電力社員で敦賀原発ほかで被曝、癌になり31才で亡くなられた。友人である井伏鱒二氏が文章を寄せている。
原発事故のこと
井伏鱒二
ソ聯のキエフ地方の原子力発電所に事故があったと新聞で見て、すぐ富山の松本君のことを思ひ出した。昭和十六年十一月、陸軍徴用でシンガポールに行く輸送船のなかで、僕は戦友として松本直治と知り合ひになった。松本君は徴用直前に結婚した人で、「今度もし俺が生きて日本に帰ったら、ぜひとも男の子を持ちたいものだ。俺は新婚の女房に男の子を産ませたい」と云ってゐた。ところが十七年十月、無事日本に帰還して来ると、東京での新聞社を止して郷里の富山で地方の新聞社に勤め、三年ぶりに丈夫さうな男の子が生まれた。やがてその子供は成長して北陸電力に勤め、「これからの電力マンが仕事に生き甲斐を求めるのは、近代科学の先端を行く原子力にある」と、若者らしい情熱をたぎらせて、東海村、敦賀の日本原子力発電所へ出向した。さうして能登に開発される原発の技術者としての将来に、いのちをかけたのであった。水力、火力の発電にはもう満足感がない。原発といふ新しい道への誘惑は、松本君にも痛いほど判ったが、それで結果的には、その憧れの原子力発電所で被曝して発病、入退院を繰返しつつ、舌ガンで死亡した。まだ三十一歳の若さであった。
『原発死』といふ、子供を悼む手記に、松本君は次のやうに書いている。
「短絡的に言ふなれば、原子力発電所で多量の放射線を浴び、ガンに冒され、闘病の末、死亡したことになる。私の思いを率直に云へば、平和利用の原子力の『絶対安全』を信じ、その『安全』に裏切られたことになる。これは私にとって衝撃の出来事であった。」
「最近、アメリカのペンシルベニア州スリーマイル島で起こったあの“炉心溶融”寸前だったといふ背筋のゾッとするような、恐怖の原子力発電所の大事故があった。この原発事故の背後に横たはるのは、人間の断絶感だ。おかげで日本の原子力の火は一時期、一切がストップした。そして発電能力の最大を誇る関西電力の『大飯一号』の原発までが完全に止まった時、あの原子炉が『どんなバカなやつがやっても絶対安全』といふので『フール・プルーフ』と呼ばれてゐただけに、わたしの原発への不信はもはや動かしがたいものとなった。」
「―原発の犠牲になった息子、許せぬ原発への不信―これに繫がって行く思ひが、五年余を経た今日、さらに深く私の胸を締めつける。私は、よく夜中、目をさますやうになった。水割りのウイスキーを少量飲んでも効果はなく、息子の死因への追及に心のたかぶりを鎮めるため、いつか睡眠薬の常習者になってしまった。市販が厳しく、知人の医師から手に入れるのだが、どの睡眠薬にも『習慣性あり』と書いてある。常用は命をちじめると注意する人もあるが、転々として眠れぬ夜を明かすよりはずっと健康にいいと思って常用を今も続けてゐる。原発への疑問が、時に私を襲ふ。」
「発ガンと被曝の因果関係の立証は、科学的にも、また医学的にも難しいとされてゐる故に確たるものではなかった。ところが昭和五十二年、衆院予算委員会に於ける原発追求の中で楢崎弥乃助代議士(当時はまだ社会党所属)が、放射線被曝による死者は七十五人を数へ、うち半数に近い三十五人がガンによる死亡であるとの驚愕の報告を知り、それらの死者のうちの一人に私の息子名を発見してから、私の血は逆流した。そして自分の息子の死の原因が原発の被曝によるものとの確信を深めたが、それは今日に至るも弱まるどころか、より強固な怨念となって私の胸を締め付ける。もし国会の楢崎代議士証言の時、全米アカデミーのショッキングな研究報告の内容が発表されてゐたら、私の疑問はおそらく決定的なものになってゐたであらう。その全米科学アカデミーのショッキングな研究報告は、国会での楢崎証言のあった二年半後、すなはちスリーマイル島原子力発電事故を機に全米で盛り上がってゐる原発反対運動に油を注ぐに間違ひないほど強烈な報告を、米紙『ニューヨーク・タイムス』がすっぱぬいたものである」
「それによると、『一九七五年から二〇〇〇年までに、原子力発電により全米でガンのため死亡する人の数は二千人に達するだらう』といふものである。原子力発電に伴ふ核燃料の開発、加工、運搬、再処理、保管などの過程で浴びる放射線の影響と、自然界に発生する放射線をプラスすると、ガン患者の数はもっと増える可能性があることを指摘、しかも原発計画が現在よりも拡大される場合や、放射性廃棄物処理などの問題を対象に入れた場合、さらにガンの発生率を高めるといふものである。」
「『原子力発電に伴ふ危険性』と題する主要調査の対象は、スリーマイル島原発事故の際に発生したラドン、クリプトン、クセノン、ヨウ素、炭素など放射性同位元素であり、それだけに各方面に与える影響は極めて大きい。
また別の調査は『放射能によるイオン化現象の生物的効果』に関して全米アカデミー諮問グループが行ったもので、これは原発による放射線だけでなく、核実験による放射線の発生や医療用放射線、宇宙線に低レベル放射線の発生の影響も計算に入れてゐるもので、全米人口の約〇・一パーセントがガンに冒されるとの警告である」
「原子力発電所は、その後ますます増設され、次々と日本列島を汚染の渦に巻き込んでゐると私は思ってゐる。そのことは、かつて戦争の足音が国民の上に暗く覆いかぶさった過去の思ひに繋がるのだが、一般にはその原発の持つ恐怖が意外に知られてゐない。あたかも戦争への道が、何も知らされないうちに出来上がっていったやうに―」
松本君が書いた『原発死』といふ題の手記は、謂はば息子さんへの鎮魂歌である。私は松本君に頼まれて、この手記に対し「まへがき」の意味で、怖るべき原発はこの地上から取り去ってしまはなくてはいけない、といふことを書いた。「放射能」と書いて「無常の風」とルビを振りたいものだと書いた。
今度、キエフ地方で原子力発電所に事故があったと新聞で見て、松本君は何と感じてゐるだらうと思ひを馳せたのであった。
◆覚え書
人間は絶対に原爆に手を触れてはいけないこと。
(昭和61年7月「新潮」)
【井伏鱒二自薦全集第十一巻より】
★山口県周南市議会 上関原子力発電所建設計画に関する意見書 2011年5月27日
上関原子力発電所建設計画に関する意見書
3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故により、これと同型である上関原発建設計画について、二井関成知事は中国電力株式会社に対し慎重な対応を求め、これにより中国電力は進行中の準備工事を中断している。 スリーマイル島やチェルノブイリ、東海村のJCO臨界事故などに見るように、原発は、自然災害にとどまらず、「思いもよらない」人為的な操作ミスでも重大な事態を引き起こしてきた。福島原発においては、日本の原発建設が「安全である」との前提で進められてきたため、事故が起きたときの初動、避難計画、避難訓練等を含め、対処法がまったく確立されていなかったことで、事態を一層深刻なものとしている。 上関周辺には、岩国断層帯や周防灘断層群などが存在し、地震予知連絡会が伊予灘及び日向灘周辺に設定している「特定観測地域」に上関も含まれている。東海地震とともに想定されている四国沖の南海地震が発生すれば、伊予灘から津波が押し寄せるという事態も十分考えなければならない。 周南市の一部が、上関原発の建設予定地から30km圏内に入っており、風向きによっては全市が影響を受けることになる。周南市が避難区域となった場合、農業や漁業だけでなく、石油化学コンビナートの工場群が全面停止という事態となる。これらのことから、下記のとおり要望する。
記
1 - 現状では安全性の確保が困難であり、中国電力株式会社に対し、上関原子力発電所の建設については中止するよう申し入れること。
2 - 国に対し、既設の原子力発電所の安全審査及び安全管理並びに事故が起きたときの対処法を確立するよう求めること。
3 - 国に対し、原子力発電所の新設及び増設計画を凍結するよう求めること。
4 - 国に対し、原子力発電に代わる新エネルギービジョンを早急に策定し取り組むよう求めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成23年5月27日 山口県 周南市議会
★6月24日平生町意見書採択 6月24日
◆知人メールより
意見書原案 http://bit.ly/kNaAtT 意見書修正案 http://bit.ly/kAZ0wR
先程平生町議会本会議で、意見書が全会一致で採択されました。
★6/21 田布施町議会凍結意見書採択~議会報告 6月21日